2013年5月23日木曜日

AWSに関する書評:ITアーキテクトになるためのシステム設計・開発・運用 ミス撲滅ガイド

クラウドアンチパターン研究家の荒木です。ITアーキテクトになるためのシステム設計・開発・運用 ミス撲滅ガイド (日経BPムック)を購入したので、早速読んでみた。

136頁から141頁迄の間に、「【第8章】 クラウドアンチパターン」のAmazon Web Servicesの節があった。この頁の出典は2012年11月の日経SYSTEMSのものだった。

S3-backedのEC2の場合にデータが消えることがあるという記事に関しては、EBSから起動するEC2を選ぶ「EBS-backed」のEC2がデフォルトになってから随分経つのに、いったんついたイメージは消えないのだなという感想。記事中ではEBSのことも触れてはあるのだが、EBSから起動できるEC2についてはあえて触れていないように見える。

このように記事が古いだけなのか、「書きやすい」ので意図して残したのかはわからない。率直な私の感想としては、「昔のデフォルトは人々の脳裏からなかなか消えない」ということを改めて感じた。今は「あえてその設定しないかぎり関係ない」と言いたい。

ELBの増強に時間がかかるという記述は中身については私のコメントの通り、ELBの負荷急増が予測されるのであれば、サポートおよびセールスに相談していただきたい。しかしながら、急増するトラフィックのほとんどはCloudFrontやS3へのオフローディングで対応できることを実感している。良い事ずくめなので、構成の見直しを行うのがいいと思う。

本自体はさくさくと読めるものばかりだし、あちこちに散りばめられたそこは違うだろーというところもなくはないのだが、それもふくめて「議論のネタ」となるのは間違いないので、日経システムズを購読していない私のような人は一読の価値があると思う。

2013年5月14日火曜日

CloudFrontのオリジンフェッチは10秒以内のレスポンスを期待している

まずはCloudFrontのFAQページを見てほしい。ここではそれ以外のことを。

最近立て続けに複数のルートで聞かれたCloudFrontのオリジンフェッチ(オリジンサーバーからエッジロケーションへのデータ転送)の細かな点を折角なので書いておくことにする。

ミスした場合は3回リトライする。詳細は、AWS Developer Forums: Cloudfront timeout pulling contents? ...を読んでほしいが、まとめるとこんな具合。

  • CloudFrontはオリジンサーバへのリクエストが無反応のときのために3回繰り返す。
  • 二度目,三度目のオリジンフェッチのときはIPアドレスも引き直す。サーバがDNSラウンドロビンを使っているような場合に一台死んでてもこれでカバーする。
  • オリジンサーバが何も返さないならば、CloudFrontも何も返さない。逆ににいえば、503などをオリジンサーバが返すならば、それはキャッシュされる。

レイテンシベースで誘導される。CloudFrontには世界で現在40箇所にエッジロケーションが存在する。日本では東京二箇所、大阪一箇所。場合によっては韓国ソウルやUSのエッジロケーションのほうが近いユーザもいるだろう。

キャッシュはエッジロケーション毎に共有される。エッジロケーションが違えばキャッシュは共有されない。厳密なことを言えば、エッジロケーション内で一定時間内にキャッシュが掘り起こせないときはオリジンフェッチを行う。一旦エッジロケーションにキャッシュされればほぼ待たされることなく共有される。

質問は随時。

2013年5月10日金曜日

EC2およびS3の価格をプログラマブルで計算したい人はJSONをたたこう

AWS の月額費用をシミュレーションする AWS Simple Monthly Calculator は初登場が2007年の6月(たしかそのあたり)。かれこれ6年近くになる。

当初はこんな超すっきりページだったらしい。(白状すると、このバージョンは使ったことがない。2008年夏のUpdateは使った記憶がある)

ということなので情報提供。EC2およびS3の価格は次のURLから取得可能です。

http://aws.amazon.com/ec2/pricing/pricing-on-demand-instances.json

http://aws.amazon.com/ec2/pricing/pricing-reserved-instances.json

http://aws.amazon.com/s3/pricing/pricing-storage.json